新しい試みがん療養相談と「がん患者サロン」
◇ 新しいビルでの「だいとうクリニック」まず、元気で再スタートしています
8月に、再スタートしました。午前中は、これまでの患者さんも沢山お見えですが、「がん療養相談」と「高齢者療養相談」に力を注いでいて、午後は毎日、往診です。循環器系の新しい患者さんは、ビル3階の「かじや循環器内科」にお願いすることが多いのですが、これまでかかっていた方は「だいとうクリニック」で診察させていただくこともしばしばあります。
◇ がん患者サロン「花みずき」、活動開始です。
がん療養相談が、ますます重要なテーマとなってきました。これまでも、通常の診療の中で、あるいは、がん患者の集まり「あじさい会」や遺族のつどい「ひまわりの会」そして、「播磨・ともに歩むケアと医療を考える会」でも、電話での相談や講演会を通じて取り上げてきました。いよいよクリニックで定常的なサロンがスタートとなります。
私たちのビルの1階に、訪問看護ステーション「だいとう」が活動を始め、その奥にがん患者サロン「花みずき」の部屋が設置されました。クリニックの患者さんでなくても、どなたでもご自由に出入りして頂いています。月・水・金の午前10時から午後1時までの開催で、参加は無料です。看護師、ボランティアが対応しています。
◇ 「がん患者サロン」ってどういうところ?
そもそもがんサロンで行われることは、
(1) 患者・家族同士の交流
(2) 心のケア
(3) 療養上の情報提供
(4) がんの病態、治療法などの学習会
(5) 行政への提案行動
などを目指して、それぞれの特徴をもちながら、全国で活動を始めました。姫路では、姫路医療センター、姫路赤十字病院、製鉄記念広畑病院でもスタートしました。クリニックの「花みずき」を加えて、4カ所となりますが、これからの期待が大きな活動形態だと感じています。
◇ もう少しわかりやすく
つまり、がん患者やその家族が、がん療養で困ったときに、「医療情報」を調べてもらったり、患者同士、あるいは家族同士が顔見知りになって、知りたいことを話し合ったりして知識を得るとともに、同じ病いの者同士として話し合うことにより、日頃の苦労をねぎらって肩の荷をおろす、そんな場所です。
◇ がん療養で、どんなことで困るのだろう
通常、がん療養の意志決定で難儀する問題となる時期を、時間を追って拾い上げてみましょう。
(1) がんと診断されたとき。
手術をするのがよいか、体力は十分耐えられるのか、受けるとすれば、どこの病院で?
(2) 手術後の症状コントロールに難渋しているとき。
消化管の通過障害、排便障害、四肢の運動障害。
(3) 手術後しばらく経過して、残念なことにがんの再発を指摘されたとき。
最初の「がんと診断された時」よりはるかに衝撃が大きかったという声も多い。
(4) 抗がん剤を受けるかどうかの迷い。
※ しかし考えてみると、この①~④までは、通常のがん以外の疾患に罹った場合でも、同じような検討が必要な項目であって、「通常の医療行為」と言えなくもありません。そして、⑤以下こそが、がん療養特有の課題であり、がんサロンでの情報として、あるいはいわゆる「セカンドオピニオン」として、主治医以外の意見も聴いてみたい課題と言えましょう。
(5) 今、進行中の抗がん剤治療から撤退する方がいいのだろうか。
副作用が強い、効果が上がっているのかどうか不明で不安だ。
(6) もうこの病院の治療から離れる方がいいのだろうか。
でも、緊急事態が起きたらどうしよう。
(7) 自宅へどうしても帰りたい段階になったのだが、どうすればよいか。
主治医はもう少し改善を待とうという。
(8) 退院を促され、もうこの病院の治療は適切でないと断言された。あるいは「地元へ帰って、ホスピスか在宅を」と言われた。
見放された思いで辛い。
(9) 実際に、新たな医療機関を探すこととなった。
(10) 今になって、改めて、人生のことを振り返って見直すこととなった。
食事療法のこと、代替療法のこと、「何かが不足していたのか」と思う。
(11) 家族への迷惑を考えると、在宅・施設・ホスピス・・どこがいいのか。
費用がどう違うかも判らない。
拾い上げてみても、こんなに多くの「解決の困難な」項目が挙げられましょう。
これらに、自分は対処していけるのだろうか。
意志決定までに、もっと知っている人、経験をした人から意見を聴いてみたい。
◇ これからの緩和ケアの役割
私たちクリニックの仕事は、在宅ホスピスケアです。通常の場合患者・家族は、療養の最終局面になって私達の前に登場してきます。上の項目では、⑦~⑪が相当します。そして、このような項目での意志選択で難渋している患者・家族にしばしば遭遇します。
これらの悩みに対応するには、これからの緩和ケア領域に求められるものを考えて見ますと、以下のようになりましょう。
1)標準抗がん剤治療をある程度知っている。
2)疼痛、消化管通過障害などの症状コントロールや栄養の維持、さらにはこのような段階になっての施設の利用への知識を熟知している。
3)代替療法も理解しながら、どこまでも「生きたい」に寄り添い、呼応しながら、自分の言葉で語りかけ続ける。
こんなことが重要かと考えるのです。
さらに、終末期の患者と付き合っていると、もっと早期から知り合っていればもう少し療養にゆとりある段階で他の方法も取り入れて役に立ったのではないかと、思わされる場合もしばしばあります。このことが、私のクリニックでの診療形態の変化を実現させることとなりました。午前診では、がん療養相談、高齢者療養相談を中心としつつあります。そしてがん患者サロンで、もっと早期からこの患者さんと話し合い、知り合いとなって行きたいものです。
◇ 心を癒し続けるために
さらに、心の癒しを少しでも満たして行くために、がん患者サロンでの工夫としては、
1)この場で、患者会を開催するなど、患者・家族の出入りの機会を増やす。
2) 水墨画、絵手紙、パソコンによるMail作成など手芸的な側面の援助をする。
3)家族やボランティア、また患者自身も少し手伝いなどしながら、食事会を体験する。
4)写真展、絵画その他の作品展といった芸術活動
こんな生活を潤す催しも、きっと有効なものとなるでしょう。
◇ どなたでも参加は自由です。
私たちのクリニックに関係していない患者さんや家族の方々も、参加自由です。どうか立ち寄って頂いて、欲しい情報を手に入れましょう。患者同士で、家族同士で、話し合ってみてください。



