機関誌「花みずき」

医療保険と介護保険・・・現在の利用と問題点

院長 大頭 信義

◇ うまく利用できていますか
 高齢になるとともに、医療や介護が必要となり、それに伴って保険制度の利用が重要となります。
 我が国は、世界の中でも有数の優れた医療制度とその利用のしやすさがこれまでも指摘されてきました。世界のトップクラスの平均寿命や健康寿命を誇っておられるのも、これらの制度のおかげが大きいようです。


◇ 「保険制度」は簡単には、新調できない

 これらの制度には、成立までに長い屈折の期間があります。医療保険は戦前にスタートしました。1922年に健康保険法が制定されましたが、これは工場や鉱山などの労働者本人が対象となるだけでした。戦後になって、1961年に国民皆保険として、国民健康保険事業が全国の市町村で開始されたのでした。国民各層の利害が対立する中での保険制度の選択はなかなか難儀だということは、いくつかの例証を考えるとすぐ理解できることでしょう。
(1) 後期高齢者医療制度は10年もの長きにわたって検討されてきたのに、実施数ヶ月で暗礁に乗り上げてしまった。
(2) 米国では、何代もの大統領が国民皆保険の制定を計画したが、今だに姿
を現さない。クリントンもオバマさんもうまく解決できない。
(3) 二酸化炭素の排出規制も、こんなに世界中に温暖化による崩壊の現象が現れているのに、先進国・新興国・途上国の利害対立から解決できそうにない。


◇ 医療も介護保険も、大切に利用したい
 今号の特集では、これらの保険制度やその中で療養する人、その家族、そして支援する人々からの意見を頂きました。
 まず、ケアプランの分野からは、クリニック・ケアマネジャーの道前その他から「介護の主役はあなた」という項において介護保険制度の解説がされています。居宅サービス、地域サービス、施設サービスについても知って下さい。田中洋三からは、ケアプランだいとう利用者とクリニックの患者さんからのアンケート結果の報告があります。
 道前からの「自分らしく生きること、死ぬこと」では、在宅ケアチームの一員であるケアマネジャーとして歩みながら想った死生観を述べています。
 クリニック看護師・中野の投稿「在宅療養を支える医療保険・介護保険」では、本年のクリニックの在宅支援で亡くなった方々の保険利用の様子が分析されています。ヘルパーステーションだいとう・佐藤の「私は介護が好きです」は、7年間介護の世界でスタッフとして働いてきた中での想いが語られています。
 さて、ここからは患者側からのご意見です。まず神澤さんの「介護保険利用の足跡並びに家族のQOLのステップアップ」では、奥様のパーキンソン患者としての療養、そして支える神澤さんの工夫と熱意がまとめられています。常連の石川さんは「ひとこと」という介護保険に関したエッセイを寄せて下さいました。また、三浦さんは、「入退院のあとの自宅療養」として、ご主人の療養生活を語っていただきました。
 皆さん、それぞれに力作ですよ。制度利用のさまざまな側面を見て取ることができましょう。