機関誌「花みずき」

腎臓が気になりはじめたら

クリニック看護師 原瀬

 みなさんは、体内で自分の腎臓がどんな働きをしているか意識したことがありますか?腎臓は、わたしたちが生きるために重要な役割を果たしています。腎臓が役割を果たせなくなると、それが原因となって様々なトラブルが起こってきます。腎臓病は、早期に治療を行えば、回復したり、進行を抑えることができます。しかし、治療を怠れば、次第に悪化して、腎不全や尿毒症に至り、命にかかわることもあります。
 近年、慢性腎臓病(CKD)の患者さんが増えています。国内には約1330万人、成人の8人に1人が慢性腎臓病(CKD)といわれています。症状は全く出ず、知らないうちに慢性腎臓病になっていることも多いです。自分の身を守るためにはどうしたらいいのか、一緒に見ていきましょう。

①腎臓のしくみ
 腎臓は、腰よりやや上方の背中側に左右1個ずつある臓器で、形はそら豆のような感じで、重さは約100~150gぐらい。だいたい大人の握りこぶしくらいの大きさです。大量の血液をろ過し、体内の水分と電解質を調節し、ホルモンを作り出しています。

②腎臓の主な働き
1.血液中の老廃物を取り除き尿を作る。
 血液をろ過する。きれいになった血液は心臓へ、老廃物は尿として排出される。
2.余分な水分を排出して水分のバランスを整える。
 水分を多くとったときの尿の量を増やし、発汗や下痢などで体の水分を失ったとき、尿を減らす。
3.からだに必要な電解質を調整する。
 中性から弱アルカリ性に保ち、細胞が生きていける環境を保つ。
4.血圧を調整したり、赤血球を増やすホルモンを産生する。
 レニン、カリクレインなどのホルモンによる血圧のコントロール、エリスロポエチンの産生により赤血球の生成を促す。
5.ビタミンDの働きを活発にして骨を健康に保つ。
 活性型ビタミンDに変え、カルシウムの吸収を助ける。

③腎臓が悪くなって起こる症状は
 腎臓は肝臓と同じように予備能力が大きな臓器のため、症状がかなり悪化しないと自覚症状は現れません。それでも急にむくみや高血圧、尿の色と量が変化するなどの症状が出る場合もあります。腎臓の病気のほとんどは自覚症状がないため、尿を詳しく検査しないとわかりません。
腎臓は一旦悪くなると自然には治りにくいため、進行する前に早く病気を見つけることが大切です。
*危険な症状
 病状が進行して起こる危険な症状を尿毒症といい、以下のような症状が起こった場合には、すぐに病院で診察を受ける必要があります。
・全身がむくむ(初期は下肢のみ)・尿に変化がある(夜間に尿が多い、泡立つなど)・体がだるい・貧血(労作時の息切れ)・呼吸困難(寝ていると苦しくなり、起き上がって息をするようになる)・動悸・食欲がない・吐き気がある。
 腎臓は一旦悪くなると自然には治りにくいため、進行する前に早く病気を見つけることが大切です。

④腎臓の病気
・急性糸球体腎炎…上気道の感染症にかかった後に腎の糸球体に炎症が起こる。血尿、たんぱく尿、高血圧、むくみなどがみられる。
・急性腎盂腎炎…腎盂が細菌に感染。高熱や悪寒を伴う。
・慢性糸球体腎炎…糸球体に慢性的な炎症が起こる病気の総称。自覚症状はほとんどないため、病気が進行してから見つかることが少なくありません。中でもIgA腎症(慢性糸球体腎炎の一種)は、慢性腎炎の原因として多い病気です。血尿やたんぱく尿が出現する。
・ネフローゼ症候群…糸球体の異常によって高度のたんぱく尿と血中のたんぱくの減少、むくみの発生、コレステロール値の増加がある状態。
・糖尿病性腎症…糖尿病のために糸球体の動脈硬化が進み、腎機能が低下する。糖尿病の合併症のひとつ。
・腎硬化症…高血圧のために糸球体の動脈硬化が進み、腎機能が低下する。
・多発性嚢胞腎…両方の腎臓に嚢胞が多数できる遺伝性の病気。嚢胞が腎臓の組織を圧迫するため腎機能が低下する。
・痛風腎…尿酸が腎臓に沈着して腎機能が低下する。