機関誌「花みずき」

腎機能を悪化させないために

院長 大頭 信義

ひとつのつらい想い出
 おいしい魚のことを想うとき、きっと脳裏の隅をかすめる、ひとつのつらい想い出があります。
それは、夏の最高の味覚、「鮎」にまつわる想い出です。
 兵庫県の西の方面を流れる揖保川(いぼがわ)の上流で、趣味の魚釣りを楽しんでいた方の話です。その方は、軽い心臓弁膜症があって、私のクリニックに通っておられました。診察室で、桜の季節には揖保川の上流が、花吹雪と川面の花模様で素晴らしい光景を呈するなどと話し合った後に、その方が、突然、腎不全になって入院してしまったということでした。
 数ヶ月たって、また診察に来てくれました。ところが彼は、驚いたことに人工透析を受ける境遇となっていたのです。初夏の一日、何時間も腰まで川の水につかって鮎釣りをやったその夕方から、無尿になって入院することとなり、その後は退院したのですが、人工透析を続ける身となってしまったというのです。
 普通は膝までが多いようですが、冷たい川水に腰から下を浸かっていた時間も長く、腎臓が冷え切ってしまって機能を失ったのでした。

CKDという言葉、ご存じですか
  「慢性腎臓病」のことをCKD : Chronic Kidney Disease、この3語の頭文字をとってCKDと呼ぶようになってきています。
 実は腎臓病には、IgA腎症や腎硬化症、また糖尿病性腎症・・・・・など、さまざまな疾患がありますが、これらの少し進行した状態をCKD と呼ぼうという動きが強くなったようです。
  1 腎障害の存在があきらかである(尿、血液、画像、病理の診断から)。
  2 腎機能(糸球体ろ過量)が、60ml/min/1.73平方m未満である。
 この①、②のいずれか、あるいは両方の状態が3ヶ月以上持続した場合というように規定されました。これによって、患者にも専門でない医者にも理解されやすくなったと想います。
 そして問題は、このCKDにあたる人が、成人の8人にひとりの割合を占めているという学会の発表もあり、新しい「国民病」とも言われるようになりつつあることです。
 今号の「花みずき」では、クリニックの看護師・原瀬と、ぼうしや調剤薬局城南店の安積さんに投稿してもらいました。進行を遅らせる工夫や話題も、今後折りに触れて登場してもらうようにしたいものです。